公認会計士の平均年収はいくら?給料は高い・低いのか
公認会計士の平均年収はいくら?給料は高い・低いのか

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公認会計士の平均年収はいくら?給料は高い・低いのか

公認会計士の年収は平均800万円程度であり、大手企業より若干高めです。

公認会計士の平均年収

医師・弁護士と並ぶ三大国家資格として有名な「公認会計士」。

公認会計士の受験資格は学歴不問なので高卒でも受けることができます。しかし、試験の難易度は高く、2020年度の合格率は10.1%と発表されています。

高度な知識を必要とする専門職ということもあり、公認会計士は高額収入というイメージがありますが、実際はどの程度なのでしょうか?

厚生労働省では、毎年「賃金構造基本統計調査」を実施し、結果を公開しています。そこで、公認会計士の年収をもっと詳しく知りたいという方のために2020年度のデータに基づいて解説していきます。

公認会計士・税理士の賃金を企業規模で比較

下の表1は「賃金構造基本統計調査」を元に公認会計士・税理士の年収について、男女計/年齢/企業規模別にまとめたものです。

この調査では公認会計士と税理士を1つの職種に統合して集計しているため、公認会計士単独の年収はこの金額より高額になると考えられます(税理士の年収については後述)。

【表1:厚生労働省「令和2年(2020年)賃金構造基本統計調査・第5表」より】

人規模 1000人以上 100~999人 10~99人
区分 基本月給(万) ボーナス等(万) 年収 基本月給(万) ボーナス等(万) 年収 基本月給(万) ボーナス等(万) 年収
〜19歳
20〜24歳 27.1 39.7 364.9 15.9 0.0 190.8
25~29歳 31.6 38.4 417.6 34.5 151.7 565.7 21.3 13.2 268.8
30~34歳 55.6 224.4 891.6 56.0 319.8 991.8 26.6 75.7 394.9
35~39歳 65.9 359.2 1150.0 33.9 49.1 455.9 34.9 127.5 546.3
40~44歳 70.1 399.0 1240.0 55.3 151.7 815.3 40.9 149.9 640.7
45~49歳 70.2 388.2 1230.6 108.9 0.0 1306.8 49.9 58.7 657.5
50~54歳 63.9 291.5 1058.3 46.9 202.5 765.3 44.1 55.1 584.3
55~59歳 77.9 389.0 1323.8 46.1 99.9 653.1 53.5 56.5 698.5
60~64歳 32.1 29.9 415.1
65~69歳 43.6 34.3 557.4 55.9 12.9 683.7
70歳~ 26.7 2.3 322.7

※この統計はサンプル数が少ないため、正確に実態を反映しているとは限りません。

勤務先によって異なる公認会計士の収入

勤務先によって異なる公認会計士の収入

表1を見るとおわかりのように、公認会計士の年収は勤める会社の規模によって大きく変わります。ここでは勤務する会社の規模ごとにどの程度の年収が見込めるかを見ていきましょう。

4大監査法人

公認会計士試験に合格した後は、2年以上の「業務補助」と「実務補修」を行い、「修了試験」に合格後に登録することで初めて公認会計士と名乗ることができます。

その業務補助の要件を満たすための就職先として希望者が多いのが4大監査法人(BIG4)です。

日本の4大監査法人とは「EY新日本」「トーマツ」「あずさ」「PwCあらた」を指し、従業員の人数は1,000人以上で、6,000人を超えるところもあります。4大監査法人での役職と年収は次のようになっています。

【表2:4大監査法人のポジションと年収】

ポジション(役職) 年代 年収(万円)
スタッフ(一般社員) 20代 600
シニアスタッフ(係長) 30代前半 800
マネージャー(課長) 30代後半 1000
シニアマネージャー(部長) 40代前半 1200
パートナー(社長クラス) 40代後半~ 1300

スタッフ、シニアスタッフは残業代が付くので、配属されたチームの忙しさによって年収はかなり違ってきます。

年収1,000万円を超える方たちは、マネージャーに就いています。マネージャーでも管理監督者になると残業代が付かないため、収入がシニアの頃より下がる場合も。

パートナー(社長や役員)まで勤め上げれば1,300万円は堅いといわれます。

しかし、全員がシニアマネージャーやパートナーまで上り詰めることはなく、マネージャーまでキャリアアップしたところで転職するケースが多いのも特徴です

一般的な監査法人の年収

次に、4大監査法人以外の100~999人規模の監査法人に勤務する場合の年収について見てみましょう。

20~24歳の年収は約365万円です。

一般事業会社での20代前半の年収は約315万円(令和2年賃金構造基本統計調査)となっていますから、約50万円の差があります。

監査業務は専門性の高い分野なので一般事業会社の社員よりはやはり高い金額に設定されています。

以前はリーマンショック後の経済低迷により公認会計士の平均年収が下がったこともありますが、現在は景気が大きく動くこともなく、安定傾向にあります。

4大監査法人でなくとも、公認会計士として監査法人に勤めた場合の給与は魅力的だと言えるでしょう。

一般事業会社での年収

監査法人に勤めたあとで一般事業会社に転職する場合は、日系・外資系を問わず転職先としてさまざまなケースがあるため、年収の幅も広がります。

一概に言えませんが、金融業界、コンサルティング業界、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)業界に進んだ場合は、公認会計士資格で給与面を優遇される可能性もあるでしょう。

また、海外の企業に転職した場合も、年収アップを期待できるケースが多いようです。

しかし、これらの業界は厳しい実力社会なので、やりがいは大きいですが激務となる場合が多く覚悟が必要です

一方、他の事業会社に転職した場合は、給与は監査法人と同程度か、若干低い傾向にあるようです。

しかし、公認会計士からの転職は管理職待遇で採用される場合が多く、時間面では公認会計士時代よりも余裕ができて休暇も取りやすくなります。

そのため、公認会計士として働く監査法人よりも、一般企業への就職・転職を希望する方も増える傾向にあります。

公認会計士として独立開業した場合の年収

以前は監査法人に5~10年ほど勤めてから、公認会計士として独立開業する方も多く見られました。

今でも独立開業をする公認会計士の方は多く、個人で会計事務所を立ち上げるケースが一般的です。

その場合、税務業務やコンサルティング業務、監査業務を兼務するのが普通です。

顧客を自分で獲得しなければならず、年収は自分の努力と公認会計士としての実力次第になってきます。

頑張れば1,000万円台も夢ではなく、高い人では3,000万円台に達する場合もあります。

ベンチャー企業で働く

中小企業の中でも特にIPO(株式上場)を目指しているベンチャー企業の経理専任として働くと、高額の年収が期待できます。

ベンチャー企業側からしても、公認会計士資格を持ったバックオフィスリーダーがいると心強いですから、役員やCFO(最高財務責任者)としてのポストも用意している可能性も。

その場合の年収は、経営状況が良い会社であれば1,000万円前後は確実です。

上場した際の報酬なども期待できますし、何より勢いのある会社のメンバーの一員として働くことは、それだけでやりがいにもつながります。

経営コンサルティング会社で働く

公認会計士で培った財務知識や経営分析の能力を生かして、経営コンサルティング会社で働く選択肢もあります。公認会計士ということで優遇される可能性もありますし、順調にマネージャーまで昇格すれば30歳前後で1,000万円を超えることも十分に考えられます

経営コンサルティング会社は公認会計士の転職先として人気がありますから、数年間公認会計士としてキャリアを積んでから転職するというコースもよいでしょう。

職業別の給料の違いまとめ

職業別の給料の違いまとめ

一般的な企業と比較して年収の高い公認会計士ですが、他の職業と比較した場合 はどの位置にあるのかを見てみましょう。

【表3:厚生労働省「令和2年 賃金構造基本統計調査・職業別男女計年収」】

順位 職業 平均年収(万円)
1位 航空機操縦士 1,725
2位 医師 1,440
3位 大学教授 1,073
4位 公認会計士・税理士 958
5位 弁護士 878
6位 大学准教授 875
7位 歯科医師 787
8位 金融・保険専門職業従事者 774
9位 小・中学校教員 714
10位 システムコンサルタント・設計者 690

以上のように、ほとんどが国家資格や、専門的な学術スキルが必要になる専門職です。

公認会計士も、例に漏れず試験が難しく取得難易度が非常に高い国家資格。令和元年は11位でしたが、令和2年度はトップ4に大きくランクアップしています。

このように、例年、年収ランキングで上位に位置している公認会計士は、「高収入」の職業の1つに数えられることは決して間違いではありません。

女性にとっても公認会計士は魅力的

女性にとっても公認会計士は魅力的

先に挙げた表1の「企業規模別収入」は男女の収入を合わせた平均年収で、厳密に言えば男性の年収のほうが女性のそれを上回っています。

女性の年収が男性より低くなる理由として次の3点が挙げられます。

  1. 公認会計士の仕事は残業や出張が多く、その手当てがつく分収入は増えるが、女性は男性より残業時間や出張する機会が少ない
  2. 女性の雇用形態はアルバイトやパートが多いため、正規社員より年収が低くなる
  3. 組織内で昇進すれば役職手当がついて年収も増えるが、昇進する女性が男性より少ない

男女雇用機会均等法が施行されて給与体系は平等になっていますが、多忙でタフさが求められる仕事ゆえにこうした男女間格差が生じるのも現実といえます。

しかし、難関の国家試験をクリアし、会計のプロフェッショナルとしてキャリアを積んできた女性にとって男女の差はありません

結婚・出産・育児などプライベートと両立させながら長く働き続けられるのも公認会計士という仕事の魅力です。

公認会計士が最も忙しい時期はクライアント企業の決算が終了したときからで、通常は4月中旬~5月中旬

税理士の場合は年末調整、確定申告の依頼、決算事務と暮れから春先までがピークとなり、閑散期は6月~11月の間だけ。それ以外の繁忙期に非常勤形態で働くこともできます。

公認会計士の時給は7,000円~8,000円が相場とされていますから、ワークライフバランスを取りながら高収入を得ることが可能です。

ちなみに、Big4をはじめ多くの監査法人では事業拡大による人材不足で、非常勤社員の求人が多くなっています。

どこも即戦力を必要としているので、経験者は需要が高いと言えます。

気になる税理士の年収事情

気になる税理士の年収事情

公認会計士とよく比較される職業が税理士。同じ会計資格で国家資格ということもあり、資格取得の際は迷われる方が少なくないようです。

表1の「賃金構造基本統計調査」を見てもわかるように公認会計士と税理士は同列で掲載されていますが、公認会計士は税理士に無試験で登録できるため、両資格を所有している人も多く線引きは難しいところ。

ここでは、一般的な税理士の年収ケースを紹介します

BIG4税理士法人

世界のBIG4と呼ばれる監査法人で有名なDTT(デロイト・トウシュ・トーマツ)、Pwc(プライス・ウォーターハウス・クーパース)、EY(アーンスト・アンド・ヤング)、KPMG(ケー・ピー・エム・ジー:創設メンバー4名のイニシャル)の4大会計事務所は、税理士法人も有しています。

勤務する税理士法人先としては最も規模が多く、また就職するのも非常に困難なことで有名。

クライアントは大手上場企業から外資系企業が中心であるため、英語力も必須の税理士法人です。

選ばれた税理士だけが勤務できるため、平均年収はやはり高額で約800万円と言われており、1000万円を超える方もいます。

中小税理士法人

税理士登録後に最も多いのが中小規模の税理士法人で働くケースです。

年収は、税理士法人の規模と役職によって大きく異なってくるので一概には言えませんが、地方の税理士法人なら平均300万円という年収の税理士もいます。

クライアントや個人が多いと顧問料も低くなりがちなため、税理士であっても年収は下がり気味。

一方、法人を顧客に持つ大手税理士法人であれば、その分顧問料も期待できるため、年収もそれなりに期待できるでしょう。

とは言っても、BIG4などと比較すると年収は低い傾向にあり、平均400万円から600万円程度になると思ってよいでしょう。

独立開業

税理士法人で経験を積んで独立開業を目指す人が多いのは公認会計士と一緒です。

実力次第では、年収3000万円以上を稼ぐ開業税理士も見られ、近年はIT知識やマーケティングスキルなど、従来の会計知識に捉われない総合的なスキルや知識がある税理士が強いのが特徴。

それに対し、記帳代行など従来通りの運営を行っている会計事務所は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やクラウド会計の登場で事務所の存続が危ぶまれるという、業界の二極化が進んでいます。

新型コロナによる会計士の年収への影響は?

新型コロナによる会計士の年収への影響は?

2020年に引き続き2021年も新型コロナの影響で経済が停滞し、まだ本格復帰の見通しは立たない状況です。

そんな中にあって、公認会計士においても無傷では済まない人が少なくないと思われます。

特に一般事業会社に勤務する公認会計士は、業種によっては賞与カットも覚悟しないといけないでしょう。

大手監査法人でさえ、クライアント企業の業績が悪化すれば報酬を上げるどころか、リーマンショックの頃のように人員削減採用縮小などの対応に迫られることも。

公認会計士が年収アップを図る方法は、監査法人からの転職によるステップアップが主流ですが、新型コロナの影響が長期化すれば、売り手市場だった公認会計士も買い手市場へ変わることもあり得ます。

まとめ

今回は、公認会計士の年収について解説してきました。

公認会計士は難易度の高い国家資格という面もあり、全国平均よりも高い年収を見込める職業です。

4大監査法人ともなれば、30代で1,000万円の年収も夢ではありません。

もちろん仕事のやりがいは給与面だけではありませんが、努力して試験を突破した分しっかりとリターンを見込めるのは公認会計士の大きな魅力と言えるでしょう。

公認会計士を目指している方は、ぜひ就職後の給与面も頭に入れながら試験勉強や就職活動に全力投球してください。