公認会計士資格試験の合格率の推移と最新情報
公認会計士資格試験の合格率の推移と最新情報

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公認会計士試験の合格率は?2021年度最新情報

公認会計士試験の難易度は試験制度の改定により易化しましたが、就職難により再び難化しています。

公認会計士試験の合格率を分析

公認会計士試験は新試験導入直後、大量合格時代と言われるほど一時は20%近くまで合格率が伸びたことがありました。

しかし、公認会計士の大量合格者で就職難民が出て社会問題となり、今は旧試験制度と同じくらいの合格率で毎年推移しています。

ここでは、公認会計士試験合格率について解説していきます。

新試験開始2006年度から現在までの会計士業界の流れ

新試験開始2006年度から現在までの会計士業界の流れ

公認会計士試験は、2006年度から現行の新試験制度に改正されました。

短答式試験の「試験免除制度」や論文式試験の「一部科目合格」が導入されたことで計画的に合格を目指すことができるようになり、長期受験者や働きながら受験する社会人は合格しやすくなっています。

試験制度の改正目的は、欧米並みに公認会計士を増やし、一般事業会社(企業)へも会計士を供給することでした。

しかし、企業からはあまり需要がなく浸透しませんでした

また、監査法人は内部統制関連の業務や国際会計基準への変更などにより、合格者の大量採用に踏み切りましたが、リーマンショック以降の不景気によりこちらも供給過多になりました。

そのような人余り状況の中、2007年度の公認会計士試験の合格者は4,041人を数え、旧試験制度最後(2005年度)の合格者数1,308人より2~3倍も多くなりました。

公認会計士を増やすという目的は達成できたものの、採用市場とのミスマッチが生じ、監査法人では新しい合格者を採用することができない状態に。

公認会計士は試験に合格したあと、監査法人などで実務経験(業務補助・実務補習)を積んでから修了考査を受け、それを通過して初めて資格を取得できるのですが、合格者を引き受ける監査法人が激減したため業務補助などに従事できない「待機合格者」が増えるという別の問題が発生してしまいました。

いわゆる公認会計士の就職氷河期の時代が到来したのです。

その後、金融庁が公認会計士試験の合格者数を1,000名程度に絞ったことで、試験の難易度は高くなりましたが待機問題は解消されました。

また、アベノミクスによる経済回復も相まって、大手監査法人も一転して人材不足となり、合格者の大半が大手監査法人へ就職できる売り手市場へと変わっていきました。

それから間もないのに、今度は新型コロナの影響で経済が停滞し、多くの企業が赤字を出し、新卒採用を縮小する企業が相次ぐ事態に。

企業の業績が悪化すれば真っ先に行われるのがコスト削減ですから、クライアント(顧客企業)が減少してしまう監査法人も無視できない事態です

特に、公認会計士試験に合格しただけの人は、現在のリモートワークが主流となっている時期は業務補助や研修などが困難な状況であるため、経験者よりも募集人数が減少することが予想されます。

2022年度最新情報と試験難易度の傾向について解説

2022年度最新情報と試験難易度の傾向について解説

2021年公認会計士試験の合格者数は1,360名で、ここ数年、合格者数は毎年1,300人程度で推移してきました。

試験の難易度は、これまで合格率10%程度を維持してきましたが、2021年度は10%を切って合格率9.6%まで低下しています。

今後は新型コロナの影響で企業の新卒採用が縮小されるなか、優秀な学生が一般企業への就職から公認会計士の資格試験に挑戦するケースも増えることが予想されます。

また、在宅勤務が常態化しつつあるなか、自宅でオンラインコースを利用して公認会計士の資格を取ってキャリアアップを目指す社会人も増えています。

そのため、今後は公認会計士試験の受験者数増加に伴って試験倍率が上昇し、合格率はさらに低下することも考えられます

公認会計士試験の日程については、2021年度は新型コロナの影響で短答式は5月の1回のみに、論文式は3か月遅れの11月に変更されましたが、2022年度は例年通り実施されることになっています。

短答式試験 第1回・12月12日
第2回・5月29日
論文式試験 8月19日~21日の3日間

ただし、変更が生じることも考えられるため、公認会計士・監査審査会のホームページで随時確認するようにしましょう。

✓公認会計士試験の難易度まとめ(2021年試験結果)
  • 合格者数は1,360名程度(合格率9.6%)
  • 新型コロナの影響で志願増、難易度上昇を懸念

公認会計士の受験者の「合格率」の変動

公認会計士の受験者の「合格率」の変動

直近10年における公認会計士試験の最終合格者及び合格率は下表のとおりです。

合格者数は2006年度の新試験制度以降後で最多となった2007年度(合格者4,041人)以降は減少を続け、2015年度では1,051人の合格者数となっています。

2016年度以降は合格者数は増加傾向で推移しており、直近の2021年度では1,360人の合格者数まで増加しています。

合格率については、リーマンショック以降の公認会計士の就職氷河期時代を受け受験者数が減少したこともあり、2017年度頃までに7-8%程の合格率から11%程の合格率まで上昇しました。

2018年度以降は、合格者数は各年増加している一方で、受験者数がそれ以上に増加している影響により、合格率は減少し、直近の2021年度では9.6%と10%を切る水準まで低下しました。

【直近10年】公認会計士試験最終合格率

年度 合格者数 合格率
2012年 1347人 7.5%
2013年 1178人 8.9%
2014年 1102人 10.1%
2015年 1051人 10.3%
2016年 1108人 10.8%
2017年 1231人 11.2%
2018年 1305人 11.1%
2019年 1337人 10.7%
2020年 1335人 10.1%
2021年 1360人 9.6%

短答式受験者の合格率推移

短答式受験者の合格率推移

直近5年間における短答式受験者の合格者数と合格率の推移は下表のとおりです。

例年、第Ⅱ回(5月実施)の方が合格者数・合格率ともに第Ⅰ回に比べると低い傾向があります

直近の2022年度は第Ⅰ回(12月実施)の合格者数が1,199人、合格率が12.1%、第Ⅱ回(5月実施)では合格者数780人、合格率7.9%となっており、各回とも合格率10%前後となっています。

受験者数の増加に伴い、合格率としては直近期と比較すると合格率は低下しています。

なお、2021年度は、合格率が20%を超え例年と比較して高くなっています。

これは、2021年度試験がコロナによる試験延期等の影響から2021年5月の1回のみの実施となったことに伴うものです。

各年の合格者数(第Ⅰ回+第Ⅱ回)としては、2020年:1,861人、2021年:2,060人、2022年:1,979人となっており、概ね2,000人前後で大きな変動はなく推移しています。

短答式試験合格率

年度 合格者数 合格率
2018 Ⅰ回 1090人 16.6%
2018 Ⅱ回 975人 18.2%
2019 Ⅰ回 1097人 16.6%
2019 Ⅱ回 709人 12.7%
2020 Ⅰ回 1139人 15.7%
2020 Ⅱ回 722人 12.9%
2021 2060人 21.6%
2022 Ⅰ回 1199人 12.1%
2022 Ⅱ回 780人 7.9%

論文式受験者の合格率推移

論文式受験者の合格率推移

直近5年間における論文式受験者の合格者数と合格率の推移は下表のとおりです。

合格者数は概ね1,200人~1,300人程ですが、直近5年では緩やかな増加傾向にあります。

合格率は2017年度では37.2%でしたが、2021年度では34.1%と約3%程低下しています。

これは受験者数が増加する一方で、合格者数は受験者数程は増加しなかったために合格率が低下したものと考えられます。

論文式試験合格率

年度 合格者数 合格率
2017年 1231人 37.2%
2018年 1305人 35.5%
2019年 1337人 35.3%
2020年 1335人 35.9%
2021年 1360人 34.1%

性別・職業・年齢別の合格比率推移

性別・職業・年齢別の合格比率推移

性別比率の推移

合格者の性別比率の推移は下表のとおりです。

女性の合格者比率は約20%ー25%程で推移しており、女性は合格者約4-5人に1人の割合となっています。

性別 2017 2018 2019 2020 2021
男性 80.3% 79.6% 76.4% 75.4% 78.2%
女性 19.7% 20.4% 23.6% 24.6% 21.8%

職業別の合格率推移

職業別の合格率推移は下表のとおりです。

学生は13%~16%と全体合格率を例年上回る高い合格率となっています。

一方で、会社員は3%~4%台と低い合格率となっています。

受験対策に比較的時間を費やすことができる学生は合格率が高く、時間の捻出が困難な会社員では、非常に低い合格率となっていることがわかります。

職業 2017 2018 2019 2020 2021
学生 15.5% 16.1% 15.0% 13,2% 13.2%
会社員 4.8% 3.8% 3.5% 3.8% 4.4%
無職 8.2% 9.7% 9.9% 10.5% 9.8%
全体合格率 11.2% 11.1% 10.7% 10.1% 9.6%

年齢別の合格率推移

年齢別の合格率推移は下表のとおりです。

最も合格率が高いのは20代で、次いで20代未満もしくは30代が続く構成となっています。

20代のなかでは、特に学生の比率が高いと考えられる20歳代前半での合格率が最も高くなっています

その一方で、40代、50代以上の合格率は全体の合格率と比較しても低くなっており、比較的若年層に有利な試験と考えることができます。

性別 2017 2018 2019 2020 2021
20代未満 7.4% 10.0% 10.1% 5.3% 4.4%
20代 14.7% 15.4% 14.0% 12.6% 12.3%
30代 7.5% 5.8% 6.9% 5.9% 5.5%
40代 4.6% 2.5% 2.8% 3.7% 1.1%
50代以上 3.0% 1.4% 0.9% 2.5% 0.5%
全体合格率 11.2% 11.1% 10.7% 10.1% 9.6%

大学別の公認会計士合格者ランキング

大学別の公認会計士合格者ランキング

2021年度の公認会計士試験の合格者を大学別に見てみると下表のようになります。

順位 大学名 2021年
1 慶應義塾大学 178名
2 早稲田大学 126名
3 明治大学 72名
4 中央大学 65名
5 東京大学 58名
6 立命館大学 49名
7 京都大学 41名
8 神戸大学 38名
9 大阪大学 36名
10 一橋大学 35名

慶應大学は2020年度も169名で1位でした。

これで旧試験制度から連続47年間首位の座を占めることとなり、公認会計士試験では圧倒的な強さを発揮。2位の早稲田大学もほぼ例年2位で、上位を早慶が独占しています。

以前はMARCHや関関同立が上位に多くランクインしていましたが、公認会計士試験が難化するにつれ、大阪大や一橋大など旧帝大も10位内にランクアップする傾向が強まっています

おすすめ公認会計士予備校の合格者数・実績を紹介

公認会計士試験合格者の多くが資格予備校や専門学校に通っています。

独学で合格を目指す人もいますが、公認会計士試験は医師国家試験や弁護士のための司法試験と並ぶ3大国家試験と言われる超難関です。

試験範囲も広いのが特徴で、初学者が独学で合格するのはまず不可能といわれます。

確実に合格を勝ち取るには、豊富な受験ノウハウを持つ公認会計士予備校で学ぶのが最強の対策です。

ここでは有名な大手予備校の公認会計士試験の合格者数をまとめてみました。

公認会計士試験合格者の大半は大原・TAC・CPA学院のいずれかの修了生ですが、公認会計士の予備校選びで重要なのは、合格率や合格者数よりも自分との相性の良い学習環境であることです。

予備校を選ぶ際は、複数校をピックアップして体験授業や説明会に参加して、講師の指導の仕方や教室の雰囲気などを自分の目で確認することをおすすめします。

資格の大原

資格の大原

大原簿記などでも有名な大原学園グループの資格専門学校です。

年ごとの公認会計士合格者数ではトップの実績で、大原大学院大学という会計大学院も設置しています。

年度 合格者数
2017年 482名
2018年 486名
2019年 470名
2020年 399名
2021年 397名

資格の大原の詳細はこちら

資格の学校TAC

TAC

大原学園と並んで有名な資格予備校です。

以前は「公認会計試験といえばTAC」と言われるほど圧倒的な存在でしたが、近年は大原に合格者数でやや負けています。

年度 合格者数
2017年 289名
2018年 401名
2019年 360名
2020年 357名
2021年 352名

資格の学校TACの詳細はこちら

東京CPA会計学院

CPA会計学院

公認会計士試験合格者数を近年大幅に伸ばしているCPAは、合格率40%前後という驚異的な実績を誇る注目の専門学校です。

合格率では他の学校と比べるとCPAは群を抜いています。

実際には慶応、早稲田、東大などの現役大学生が多く、学力上位層がCPAに集まっているため、合格率が高くなっているようです。

近年は、他校から優秀な講師が集まってきており、今まで以上に質の高い公認会計士試験対策ができるようになっており、TACに迫る勢い。

年度 合格者数
2017年 121名
2018年 223名
2019年 357名
2020年 359名
2021年 510名

東京CPA会計学院の詳細はこちら

クレアール

「合格するのに満点を取る必要はない」という考えのもと、学習範囲を徹底的に絞って最短合格を目指す「非常識合格法」で知られるクレアール。

通信講座が基本のため、学費が他の予備校と比べて安いのも特徴で、時間や費用に余裕がない社会人に特に人気の予備校です。

合格するまで親身にサポートする「担任制」やメール・電話・スカイプなどを使った「質問体制」が整っており、オンラインでも学習しやすいよう細部に工夫がなされているのがクレアールの魅力。

51年の歴史を誇るクレアールは実績は豊富なのですが、合格率や合格者数は公表しておりません。入学を検討する方は直接お問い合わせください。

クレアールの詳細はこちら

まとめ

新型コロナウイルスの影響が大きいのは公認会計士業界も例外ではありません。

ワクチン接種が日本でも開始されていますが、収束の見通しも立たず、先行きの経済も未知数なことが多いです。

試験の日程も2022年度は例年通り実施されることになっていますが、今後の感染者数の拡大状況によってはどうなるか分かりません。

公認会計士合格率については2021年は9.6%に下がりましたが、ほぼ例年並みです。

短答式試験に合格すれば、35%程度の合格率で論文式試験も突破できます。自宅時間が増えた今、オンラインコースも利用して公認会計士試験の短期合格を目指しましょう。