公認会計士の企業年金基金とは?仕組みや給付額を解説

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公認会計士の企業年金基金について制度内容を紹介

この記事では、公認会計士の企業年金基金について仕組みや掛金、給付額など幅広く解説しています。

「公認会計士は給料は良いけど退職金が少ない。」

このような言葉を耳にしたことがある人は少なくないのではないでしょうか。

確かに監査法人の退職金は一般企業の退職金と比べると全体的に低い水準と言われています。

退職後のライフプランを考えるうえで、公認会計士として働いている方やこれから公認会計士を志す方にとっては、非常に気になる点だと思います。

その一方で、こうした背景を受け公認会計士の退職金制度の充実のために公認会計士企業年金基金制度が設立されていることはご存知でしょうか。

本記事では、公認会計士の老後の福利厚生の充実のため設立された公認会計士企業年金基金の仕組みや給付額などについて詳しく解説していきます。

公認会計士の企業年金基金とは?

公認会計士の企業年金基金とは?

公認会計士企業年金基金について

公認会計士企業年金基金は、日本公認会計士協会を母体として設立された企業年金基金です。

公認会計士の老後の福利厚生の充実を目的として、平成19年5月1日(以前は公認会計士厚生年金基金)に厚生労働大臣の認可のもとに確定給付企業年金の形態で設立されました。

一般の会社員や公務員の方は、全ての国民が加入する「国民年金」に加えて、「厚生年金保険」に加入する2階建ての年金制度が基本となっています。

これら2つの年金制度は国が運営するものですが、これに追加する3階部分として設定された「企業年金」制度として、この公認会計士企業年金基金があります。

現在の加入事業所数は371事業所(加入者数は69,561人)、年金資産額は740億円にものぼります。

誰が加入できる?

日本公認会計士協会を母体としているため、加入対象は、日本公認会計士協会の会員が開設した会計事務所、監査法人などの事業所に限定されています。

また、公認会計士企業年金基金の加入は、厚生年金保険への加入が条件となっています。

なお、基金への加入は個人単位ではなく事業所単位で行われます。

つまり、ある事業所が公認会計士企業年金基金に加入する場合には、その事業所に勤務する厚生年金保険の被保険者は、原則として全員が公認会計士企業年金基金の加入者となり、個人で加入の手続きを行う必要はありません。

脱退はできる?

基金からの脱退は、転職などで事業所を退職したり一定の年齢に達した場合に、加入者の資格を喪失し基金を脱退します。

脱退となる場合は、次のとおり定められています。

  1. 死亡した日の翌日
  2. 退職した日の翌日
  3. 厚生年金保険の被保険者でなくなった日の翌日
  4. 使用される事業所が実施事業所でなくなった日の翌日
  5. 事業所別喪失年齢に達した日(喪失年齢の誕生日の前日)

公認会計士企業年金基金の仕組みは?

公認会計士企業年金基金の仕組みは?

掛金はいくら?誰が負担する?

掛金は事業主が全額を負担します。そのため、加入者に負担はありません。

公認会計士企業年金基金の掛金には、将来の給付のための「標準掛金」と、基金の事業運営に要するための「事務費掛金」があり、加入者の標準給与に決められた掛金率を乗じることで算出されます。

なお、現在の掛金率は標準掛金1.40%、事務費掛金0.06%となっており、合わせて1.46%の掛金率となっています。

事業主はこれらの掛金を全額負担しており、公認会計士企業年金基金に拠出を行います。そのため、加入者の方には負担が一切ありません。

基金の積立・運用の仕組みは?

公認会計士企業年金基金は、「キャッシュバランス・プラン」という仕組みで運営されています。

キャッシュバランスプランとは、確定拠出年金の特徴を持ちながら運用リスクは企業が負う確定給付型の企業年金のことを言います。

具体的には、事業主より毎月納付される標準掛金を、「仮想個人勘定残高」に給付原資として積み立てていきます。

基金加入期間では、この仮想個人勘定残高に掛金が積みあがっていくほか、国債などの利回りなどの一定の指標利率を乗じた利息を加算して計算した金額が、個人別の給付額となります。

利息計算のもとになる指標利率は毎年度変動しますが、上限と下限が設けられており、利息は一定利率が保証されています。

したがって、給付額が掛金を下回る、いわゆる「元本割れ」の心配はありません。

給付の方法は?どれくらいもらえる?

給付の方法は?どれくらいもらえる?

給付方法

給付額は、一時金で受け取るか、年金で受け取るかを選択することができます。

基金からの給付には、「老齢給付金」と「脱退一時金」があり、基金脱退時の加入者期間や年齢によって受けられる給付が違います。

基金脱退時の加入者期間が3年以上10年未満、または加入者期間が10年以上で60歳未満の人は、脱退一時金相当額を他の年金制度へ移すこともできます。

また、加入者や年金受給者などが亡くなられたときには、ご遺族の方に「遺族給付金」が一時金として支給されます。基金の加入期間別の給付方法は次のとおりです。

基金脱退時の加入期間 給付方法
3年未満 給付なし
3年以上10年未満 脱退一時金もしくは他の年金制度への移行・移動
10年以上 脱退一時金、老齢給付金もしくは他の年金制度への移行・移動(60歳以上の場合は老齢給付金のみ選択可)

給付額はいくら?計算方法は?

給付額の計算方法は、前述のとおり、キャッシュバランスプラン方式で、事業主が毎月支払った標準掛金を積み上げたものに、国債などの利回りなどの一定の指標利率を乗じた利息が加算して計算された金額が加入者別の確定給付額となります。

なお、個人別に積み上げているこの金額を「仮想個人勘定残高」といいます。

給付(受給)予定額は?確認方法は?

実際に給付される予定の金額(仮想個人勘定残高)は、公認会計士企業年金基金のHPの専用フォームより残高照会の問い合わせを行うことができます。

なお、申請を行わなくとも、毎年6月に、毎年3月末日現在の仮想個人勘定残高を事業所を経由して加入者宛に残高のお知らせの案内されています。

年金と一時金の選択はどうすべき?

受け取る方の状況や将来計画にも関わりますので、一概にどちらが得とは申し上げることはできません。

しかしながら、公認会計士企業年金基金から支給する給付金の総額は、年金で受け取る方が多くなります。

選択にあたっては、税金や基金の運用利回りといった項目が注意すべき点となります。

関連する税金や運用利回りといった項目に関する情報は公認会計士企業年金基金のHPでまとめられているので、確認してみるのもよいでしょう。

まとめ

本記事では、公認会計士の老後の福祉の充実のために設立された公認会計士企業年金基金の概要について解説してまいりました。

まずは、公認会計士企業年金基金の設立経緯や積立・運用・給付の仕組みについて触れさせて頂きました。

その後、給付の方法などについて解説をさせて頂きました。本記事が、公認会計士として働く方やこれから志す皆様の、ご理解の一助となれば幸いです。