日本公認会計士協会とはどんな機関?

日本公認会計士協会は、日本で唯一の公認会計士の団体です。設立は1949年と古く、2004年に特別民間法人になりました。
協会の会員は、公認会計士(外国公認会計士を含む)と監査法人で構成されており、日本のすべての会計士・監査法人は日本公認会計士協会に加入しています。
現在は全国に16の支部(地域回)を持ち、各地域会に密着した活動を行っています。
社会的役割と仕事内容
日本公認会計士協会の役割は、監査証明業務の改善進歩を目的とした会員の指導や監督です。そのために、公認会計士業務に関する講習会・研究会の開催や、監査や会計に関する研究調査などの事業を行っています。
もともと、公認会計士協会は公認会計士が組織する「自主規制機関」という位置づけで運営されており、会員の規律を正し、会計士としての能力を一層向上させるために指導を行っているのです。
また、公認会計士が守るべき倫理規則を定めることも、協会の役割の1つ。このような職業倫理の整備を通して会計士のあるべき姿勢を示し、会計士の社会的地位の向上や、公正な経済社会の確立と発展に貢献しています。
さらに、このような会計士に向けた事業だけでなく、一般企業に向けた情報開示や支援も協会の仕事です。公式サイト上では、社外役員として公認会計士登用を検討している企業に対し公認会計士を紹介する制度を設けたり、中小企業の事業を支援するためのツールを紹介したりと、幅広く事業を行っていることがわかります。
会計・監査に関すること以外にも、日本の経済に関わる重要な業務を行っていると言えるでしょう。
公認会計士協会の会員になるメリットとは
基本的にすべての公認会計士が日本公認会計士協会の会員となるため、会計士として働くのであれば会員にならないという選択はできません。
協会の会員は、自分が所属する地域会で行われる研修に参加することで、会計士としての能力を向上させることができます。また、各支部の公式サイトでは、会計士試験の合格者が通う「実務補修」に関するお知らせや、様々な研究調査の結果報告を見ることが可能。
自分の会計士としての活動に有益な情報を集められるメリットがあります。
会長は四大監査法人の代表であることが慣例
日本公認会計士協会の会長職は任期3年で初代は太田哲三氏(現EY新日本有限責任監査法人)。
現在は有限責任監査法人トーマツの手塚正彦氏と、4代監査法人の代表社員から選任されるのが慣例となっています。
登録費用は無料?
日本公認会計士協会に登録するには費用が生じてしまいます。
これは、公認会計士協会を運営していくための費用に充てられ、会員のみならず準会員も発生します。
ただし、監査法人や事業会社で働く公認会計士の場合は法人側で会費を負担していることが多いです。
これまで公認会計士協会の会費は年間60,000円でしたが、40年ぶりに値上げを行い2020年4月から年間70,000円となっています。
月額 | 年額 | |
---|---|---|
会員 | 6,000円 | 72,000円 |
準会員 | 1,500円 | 18,000円 |
公認会計士・監査審査会(CPAAOB)とは異なる専門機関

公認会計士の団体として、「公認会計士・監査審査会(CPAAOB)」という団体があります。
公認会計士・監査審査会は公認会計士試験を実施している団体で、日本公認会計士協会とは別物。2004年に金融庁に設置された機関とされており、会長1名と委員9名で構成されています。
CPAAOBの概要と役割
公認会計士・監査審査会(CPAAOB)の役割は、大きく分けて3つ。公認会計士試験の実施、公認会計士に対する懲戒処分などの調査・審議、監査法人や協会に対する整備・検査です。
公認会計士を目指す人が一番関わるのは「公認会計士試験の実施」でしょう。試験の出願から試験結果の発表まで全てCPAAOBが行っています。
反対に、公認会計士になった後の研修などは日本公認会計士協会が行っているため、会計士試験を突破した人が多く関わるのは公認会計士協会の方だと言えるでしょう。
会計士として働き始める際には必ず登録

公認会計士試験を突破した人は、協会に「準会員」として登録されます。
その後、所定の実務経験(業務補助)と実務補習所の補修を受け、協会が行う修了試験に合格したものが正式な会員として登録されることになります。この登録をもって初めて、正式に公認会計士として名乗れるのです。
公認会計士協会は、この登録に関する諸手続きを行ってくれるところです。また、支部によっては労働者の介護休業制度の紹介など、働く上で重要な公的制度の案内をを公式サイト上で行っています。
会計士という職種に限らず社会で働く上で必要な情報も提示してくれているため、自分が所属する公認会計士協会の支部会ホームページを時折チェックしてみるのも良いでしょう。
公認会計士協会のCPE「継続的専門研修制度」とは
公認会計士は高度な知識とスキルを有する専門職として、常に最新の法令・基準や会計知識を取得して会計士としての品質や信頼を維持しておく必要があります。
そこで、公認会計士協会では、平成14年からCPE(Continuing Professional Education)と呼ばれる継続的専門研修制度を設けています。
CPEでは、直近3事業年度で合計120以上の単位を取得することが義務となっており、単位取得の方法は、公認会計士協会主催の研修会、自己学習、著書執筆、セミナー講師などで単位を取得することが可能です。
自己学習とは、公認会計士協会が発行する「会計・監査ジャーナル」にCPE指定記事があるので、そちらを読んで感想や概要説明などを書くことで単位が取得できます。
監査法人に勤務する公認会計士は、法人内の研修やe-learningなど学習環境が用意されているので比較的容易ですが、それ以外の場合は個人で時間を見つけて研修を受ける必要があるため、仕事と両立しながらの受講は決して容易ではありません。
ただし、CPEの単位取得を怠った場合は指示または公表されるペナルティも用意されているので注意しましょう。
事業会社に勤務または独立開業などの公認会計士は、公認会計士協会からは定期的に研修の案内が届くので、積極的に参加したり、自己学習を時間を見つけて実施することをおすすめします。
また、公認会計士協会意外にもCPEが認定する民間研修もあるので、興味があるのは参加して効率よく単位を取得していくことが大切です。