公認会計士の憧れBIG4の年収事情
公認会計士となり監査法人に入社した場合、年収はどれくらいもらえるのでしょうか?
監査法人全体の年収は高い水準にありますが、監査法人の規模や役職によっても変わります。
本記事では、BIG4と呼ばれる4大監査法人における平均年収・役職別の平均年収について詳しく解説します。
公認会計士ってどんな仕事?BIG4とは?

公認会計士ってどんな仕事?
公認会計士は財務諸表監査を主な業務としています。
財務諸表とは決算書のことで、上場企業などが毎期・四半期ごとに経営成績や財政状態などを外部に報告するための資料です。
公認会計士は、企業が作成し公表する財務諸表を監査して誤りや不正のないものであるかを確認する仕事をしています。
財務諸表監査は人手のかかる仕事で、誰もが知っているような大手上場企業ともなると、数十名~百名を超える公認会計士がチームを組んで監査業務を行っています。
そのため、監査法人も大規模化して対応しており、監査法人のなかでもBIG4と呼ばれる大規模法人が存在しています。
BIG4では、公認会計士だけでも各法人1,000名~3,000名を超える人数が勤務しており、公認会計士試験合格者の多くはこのBIG4でキャリアをスタートしています。
BIG4とは?
日本でBIG4(4大監査法人)と呼ばれる監査法人は、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツ、EY新日本有限責任監査法人、PwCあらた有限責任監査法人の4法人です。
それぞれグローバルに活躍する4大会計事務所(KPMG、デロイト トウシュ トーマツ〈Deloitte〉、アーンスト・アンド・ヤング〈EY〉、プライスウォーターハウスクーパース〈PwC〉)と提携関係にあり、1,000名をこえる公認会計士を有しています。
なお、PwCあらた有限責任監査法人は他の3法人と比べ、半分以下の規模のため、PwCあらた有限責任監査法人を除くあずさ、トーマツ、新日本の3法人を3大監査法人と呼ぶこともあります。
4大監査法人と世界4大会計事務所との提携関係
4大監査法人(BIG4) | 提携先 |
---|---|
有限責任あずさ監査法人 | KPMG |
有限責任監査法人トーマツ | デロイト トウシュ トーマツ 〈Deloitte〉 |
EY新日本有限責任監査法人 | アーンスト・アンド・ヤング〈EY〉 |
PwCあらた有限責任監査法人 | プライスウォーターハウスクーパース〈PwC〉 |
BIG4の初任給は?

公認会計士の初任給は、一般の新卒初任給と比べてかなり高い水準となっています。
大卒者の新卒初任給は平均225,400円(厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」)となっている一方で、BIG4の初任給は月額305,000円~と一般の新卒者と比べ8万円以上もの差があります。
年収は賞与や残業の額にもよりますが、BIG4の賞与は概ね4か月分程度が通例と言われています。
そのためBIG4の入社1年目の年収は500万円前後(30万×12ヶ月+30万×4ヶ月+残業代)となるのが一般的です。
日本人の平均年収は 436万円(国税庁民間給与実態調査 2021年)ですので、公認会計士試験合格者としてBIG4に入社できれば1年目から平均年収を大きく超える収入を手にできる点は大きな魅力といえるでしょう。
4大監査法人の平均年収
有限責任あずさ監査法人 | 月額給与305,000円 賞与年2回 |
---|---|
有限責任監査法人トーマツ | 月額給与305,000円 賞与年3回 |
EY新日本有限責任監査法人 | 具体的な情報なし 賞与年2回 |
PwCあらた有限責任監査法人 | 月額給与342,360円~355,000円(月30時間の時間外勤務手当込) 賞与年1回 |
出典:各社公式HPより
BIG4の役職別の年収は?

BIG4(あずさ、トーマツ、ey、PwC)の入社1年目の給与は月額30万以上、年収500万円前後と、平均と比べてもかなり高い水準であることをご紹介しました。
では、BIG4の役職別の年収ではどうなるのでしょうか?
役職と昇進までのおおよその勤務年数とともに解説していきます。
BIG4の役職は?
役職名や役割、昇進に必要な年数などは各法人で微妙に異なりますが、順調に昇進すれば、スタッフ→シニア→マネジャー→パートナーの役職を経ることになります。
役職別の主な業務内容、役割は以下のとおりです。
- スタッフ:業務補助、インチャージの補佐
- シニア:インチャージ(現場主任)、スタッフへの業務指示
- マネジャー:管理職、監査チームの管理、クライアントとのコミュニケーション
- パートナー:責任者、業務の査閲・指導、クライアントとのコミュニケーション
BIG4に入社すると、まずはスタッフとして監査業務の補助的な役割を任されることになります。
監査調書作成のほか資料管理などの雑務的な業務から始まり、徐々に現場主任であるインチャージの補佐的な役割を担うようになっていきます。
シニアは、インチャージと呼ばれる役割を果たし、難易度の高い会計論点の整理やスタッフの作業分担の作成・指示などを担当します。
マネジャーになると、管理者として監査チーム全体の管理やアサインの割り振り、クライアント会社とのコミュニケーションを行います。
パートナーは、監査報告書に自身の名前を署名する監査業務の執行責任者です。
役職別のおおよその勤務年数は下表のとおりです。
法人によっては、シニアとマネージャーの間にアシスタントマネジャーという役職があるなど役職に微妙な差があったり、個人の能力によっても年数に違いは出るため、大まかな参考とご理解ください。
監査法人の役職階級
役職 | 勤務年数 |
---|---|
スタッフ/アソシエイト | 3年~5年 |
シニア/(シニアアソシエイト) | 5年~10年 |
マネジャー | 10年~15年 |
パートナー | 15年~ |
役職別の平均年収は?
BIG4(4大監査法人:あずさ、トーマツ、ey、PwC)における役職別の役割とおおよその勤務年数をご紹介しましたが、役職別での平均年収はどのくらいになるのでしょうか。
役職別の給料・年収について詳しく解説していきます。
入社間もないスタッフは500万円前後から年収をスタートします。
昇給は年数万円程度ですが、業務量の増加に伴って残業が増加する傾向もあり、シニアに昇格する直前では年収500万円~600万円程度となります。
シニアに昇格すると年収700万円以上まで増えることが多いです。
その後マネジャー昇格直前には、多い人では年収1,000万円を超えることとなります。
マネジャーになると、管理職となり残業代がもらえなくなることもあって、始めは年収が減少する場合もあり、年収900万円程度となります。
マネジャーになると、人事評価で左右されやすい賞与の割合が増える傾向にあり、評価の良い人とそうでない人とで差がつきやすくなる時期でもあります。
また、パートナーに昇格できる人も一定数に絞られる時期でもあります。
優秀なマネジャ―でパートナー昇格直前となる人では、年収1,200万~1,400万円程度となるのが一般的なようです。
パートナーに昇格すると、年収は1,500万円以上となり、平均では2,000万円前後多い人では3,000万円ともいわれています。
役職別の年収一覧
役職 | 年収 |
---|---|
スタッフ/アソシエイト | 480万円~600万円 |
シニア/シニアアソシエイト) | 700万円~1000万円 |
マネジャー | 900万円~1400万円 |
パートナー | 1500万円~3000万円 |
4大監査法人BIG4(あずさ、トーマツ、ey、PwC)の役職別の年収をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
年齢30歳で年収1,000万円を狙うことも可能で、高卒や女性でも差がなく同等の年収を得るこができることを魅力的に感じる多いです。
その一方で、パートナーの最高で3,000万円程度という年収に対して、低いと感じ、更なる年収アップを期待する人もいると思います。
実際に独立や転職をすることで、BIG4を超える年収を手にしている人も少なくありません。
これからは、公認会計士がBIG4より年収アップを目指すことが可能かどうかについてご紹介していきたいと思います。
公認会計士は転職・独立で年収アップは可能?

BIG4(あずさ、トーマツ、ey、PwC)の年収について解説してきましたが、公認会計士の業務の幅は広く、財務諸表監査に限られません。
経理業務は勿論、内部統制、経営、経営企画の他、会計アドバイザリ―業務など幅広い業務を提供できる可能性を有しています。
BIG4を退職して、事業会社へ転職する人や独立開業して、自身の会計事務所を解説する人などもおり、幅広いキャリアプランを描くことができます。
収入面でも、転職や独立でBIG4を超える億越えの年収を狙うことも不可能ではなく、実際に多くの人がBIG4での勤務経験をもとに、転職・独立することで多額の収入を得ています。
転職をする場合、年収アップを優先して考えるのであれば、外資系のコンサル会社への転職なども有効な手段の一つです。
BIG4出身者はCPA、USCPA等の資格も保有しており、財務・会計の専門家として高い知識力もあるため、そのような優秀な人材を欲しているコンサル会社は少なくありません。
一般の事業会社への転職であっても、BIG4勤務の間に人脈・コネを広げておくことで、プロジェクトチームのリーダーや役員待遇での就職などの道を用意してもらえることもあります。
また、英語力を生かして、アメリカや欧州の企業へ転職し活躍の場を広げる人も少なからずいます。
なお、BIG4から転職する場合、多くの人は入社5年目~12,3年目頃までに転職する人が多くなっています。
独立開業する場合、会計事務所・税理士事務所を解説し、税理士業務を主たる業務とする人も多くいます。
会計士・税理士の独立開業はほとんど身一つで始められ、初期投資コストも低いので、リスクも低い部類になっています。
ご自身の営業力次第では、年収億越えも不可能ではなく、やる気、向上心の強い人にはおすすめのキャリアプランともいえるでしょう。
まとめ
本記事では、BIG4(あずさ、トーマツ、ey、PwC)の初任給、役職別の年収についてご紹介しました。
また、転職や独立によって、更なる年収アップが可能かについて解説しました。
公認会計士は専門性の高い仕事で、また、対応できる業務の幅からも、独立や転職など様々なキャリアプランを描くことができます。
本記事で紹介した内容を参考に、ご自身にあったキャリアプランを探すきっかけとなればと思います。