公認会計士は高度な知識と専門性の高い国家資格であるため、活躍の場は広く高い年収も期待できます。
そんな公認会計士を目指す場合、大学や学部が合格に影響してくるのでしょうか。
今回は公認会計士試験の受験資格や合格実績豊富な大学などについて詳しく紹介していきます。
公認会計士の受験資格の学歴は必要ない
公認会計士試験の受験資格に学歴・年齢の制限はありません。
したがって、中卒でも高卒でも公認会計士になることは可能で、過去には16歳で試験合格を実現した人もいます。
旧試験制度では、大学卒業または旧1次試験合格などの受験資格がありましたが、2005年度以降の新試験移行後は誰でも公認会計士試験が受験できるようになっているのが特徴です。
合格後に大手監査法人を希望するなら大卒は重要
公認会計士試験は学歴は関係ないですが、合格後の就職活動では大いに影響してくるって言っても過言ではありません。
監査法人の特にBIG4と呼ばれる大手に入る場合は、公認会計士試験合格者のライバルはみな難関大学を卒業している人がほとんど。
採用の段階で高卒であれば、選考の際に不利になってしまいます。
したがって、公認会計士試験合格後のキャリア形成を有利に進めたい場合、大学を卒業しておくことをおすすめします。
公認会計士試験に強い大学は存在する
公認会計士試験は3大国家試験の1つに数えられるくらい難易度の資格です。
したがって、合格者の出身大学は偏差値の高い上位大学ほど多い傾向にあります。
下記、大学別の公認会計士合格者数ランキングをまとめてみましたので参考にしてみて下さい。
大学別公認会計士試験合格者数ランキング【2019年】
順位 | 大学名 | 合格者数 |
---|---|---|
1位 | 慶應義塾 | 183 |
2位 | 早稲田 | 105 |
3位 | 明治 | 81 |
4位 | 中央 | 71 |
5位 | 東京 | 40 |
6位 | 京都 | 38 |
6位 | 立命館 | 38 |
8位 | 神戸 | 36 |
9位 | 一橋 | 34 |
9位 | 法政 | 34 |
以上のように偏差値上位の難関大学が公認会計士試験の合格者数を多く輩出。
特に、慶應は45年連続第1位を誇る公認会計士試験に圧倒的な強さを誇る大学です。
また、第2位の早稲田大学も100名以上の合格者を輩出している年は多く、公認会計士試験と言えば早慶が強いというイメージがあります。
おすすめの学部はある?
公認会計士の試験科目は、財務会計、管理会計、監査論、企業法、租税法の必須科目に加え、経営学や経済学などの選択科目が用意されています。
したがって、商学部会計学科、経済学部を専攻しておけば、大学で勉強した知識を活かせるので、公認会計士試験の勉強を始める際はスムーズに理解していけると思います。
ただし、合格者の中には法学部や文学部など他学部を専攻している人もいるので、在籍する学部に関係なく公認会計士になることは可能です。
会計大学院に進学する必要はある?
司法試験にロースクールがあるように、公認会計士にも会計大学院(アカウンティングスクール)が設置されている大学があります。
司法試験のようにロースクールへの進学が受験資格として必須ではありませんが、会計大学院を卒業すれば短答式試験で4科目中3科目が免除となり、受験するのは企業法のみ。
企業法は高得点が取りやすい短答試験科目としても有名であるため、会計大学院を卒業すれば、ほぼ短答式試験の合格は約束されたものであり、論文式試験に集中することが可能です。
公認会計士試験において学歴は受験資格として不要であるにもかかわらず、会計大学院に進学する必要はあるのでしょうか。
ここでは、会計大学院の必要性について紹介していきます。
会計大学院を設置する大学一覧
大学院 | 場所 | 専攻 |
---|---|---|
北海道 | 北海道 | 大学院経済学研究科会計情報専攻 |
東北 | 宮城 | 大学院経済学研究科会計専門職専攻 |
早稲田 | 東京 | 大学院会計研究科専攻 |
明治 | 東京 | 専門職大学院会計専門職研究科会計専門職専攻 |
青山学院 | 東京 | 大学院会計プロフェッショナル研究科会計プロフェッション専攻 |
千葉商科 | 千葉 | 大学院会計ファイナンス研究科 |
LEC東京リーガルマインド大学院 | 東京 | 高度専門職研究科会計専門職専攻 |
大原大学院 | 東京 | 大学院会計ファイナンス研究科 |
関西学院 | 兵庫 | 専門職大学院経営戦略研究科会計専門職専攻 |
関西 | 大阪 | 大学院会計研究科会計人養成専攻 |
兵庫県立 | 兵庫 | 大学院会計研究科会計専門職専攻 |
熊本学園 | 熊本 | 大学院会計専門職研究科アカウンティング専攻 |
会計大学院を卒業すれば短答は企業法のみ
会計大学院は2年間で、卒業すれば公認会計士試験の短答式で財務会計、管理会計、監査論が免除となり、企業法だけで受験できることになります。
ただし、注意点としては、卒業するまでの2年間は免除が受けられないため、免除を取得するまでに多くの時間を要してしまうこと。
公認会計士試験は2年から3年の勉強で合格してしまう人が多いので、大学在学中から勉強すれば、アカウンティングスクール卒業前に合格できてしまう人も多いかもしれません。
会計大学院だけの勉強では合格できない
会計大学院では、高度な専門知識を習得することが可能ですが、公認会計士試験に特化した授業を行っていないため、やはり合格するためには予備校の講座で勉強する必要があります。
したがって、費用面で言えば、会計大学院の学費に加えて、資格予備校の対策講座の受講料が必要になります。
国公立大学でも2年間の学費は130万円程度、私立なら250万円から350万円ほどかかり、それに講座代70万円ほどかかるため、非常に高額な費用負担が生じることになります。
短答式試験の3科目免除しからもらえないので、費用対効果の良し悪しは個人差があると思いますが、決して安くはないと言えるでしょう。
合格者の多くは大卒
会計大学院での勉強だけでは公認会計士試験に合格できないこともあり、多くの合格者は大学在籍中・卒業の人が大半で、資格予備校で勉強している人がほとんど。
つまり、公認会計試験の合格を目指す人の多くは会計大学院に進学していないことになります。
下記テーブルを見ても分かるように、2019年度の学歴別合格者の一部データを抜粋してみるとほどんどの合格者は大学在学中または卒業の方になります。
区分 | 受験者 | 合格者 | 合格者構成 |
---|---|---|---|
会計大学院修了 | 461 | 64 | 4.8% |
会計大学院在学 | 134 | 14 | 1.0% |
大学卒業(短大含む) | 1633 | 552 | 41.3% |
大学在学(短大含む) | 981 | 530 | 39.6% |
以上の理由もあり、会計大学院は年々数が減少しており、18大学あった会計だ学院は今では合計12大学。
メリットはないのか?
会計大学院に進学することは、高額な学費負担、卒業まで科目免除がもらえない、そして資格予備校での対策が別途必要など、公認会計士試験に合格するためには必要性が低いような印象です。
しかし、デメリットばかりではありません。
メリットはいくつか考えられますが、一番は勉強中の空白期間を作らないことでしょう。
会計大学院に進学すれば、2年間また公認会計試験の対策ができると同時に、学歴としても履歴書に記載可能です。
たとえ、卒業するまでに公認会計士試験に合格できなかった場合でも、学歴としては残すことができます。
いっぽう、大学卒業後に勉強に専念した人は、勉強していた時期は履歴書では空白期間となってしまいます。
したがって、合格した後の就職活動では経歴を途絶えさせないというメリットが得られるということです。
会計大学院に進学する必要はある?
公認会計士試験の受験資格に大学卒業等の学歴は存在しておらず、誰でも受験可能です。
しかし、試験合格後の監査法人への就職活動や、その後のキャリアアップを見据えると大卒であることをおすすめします。
アカウンティングスクールも合格するための1つの方法として候補にあがりますが、学費や免除制度を踏まえると費用対効果はそこまで期待できないかもしれません。
事実、公認会計士試験の合格者の多くは大卒レベルの最終学歴が圧倒的に多いうえに、海外のように修士号を取得してもそこまで評価は上がるとは言えない状況です。
したがって、公認会計士としての今後の活躍の場を広げるのであれば、大学卒業が1つの基準と言えることは間違いないでしょう。