公認会計士は参考書で合格できる?
公認会計士に関する市販の教材や参考書が販売されていますが、これらを利用した独学で試験に合格することは可能なのか。
ここでは、市販の参考書やテキストについて詳しく解説。
公認会計士試験を独学で勉強しようと思っている方や、予備校生でプラスαとして市販の参考書を利用証と思っている人はぜひ参考にしてみて下さい。
公認会計士試験向け市販教材は網羅不足
公認会計士試験は難易度が非常に高く、専門学校や資格予備校で対策して合格する流れが一般的のため市販の教材はあまり充実していないです。
大手資格予備校などが演習問題や過去問などのテキスト教材を販売していますが、試験範囲を全部網羅した参考書は見当たりません。
それほど公認会計士試験の出題科目は多く、各々の出題範囲が広範囲に渡っている証拠でもあります。
また、簿記検定と異なり資格勉強に励む受験者数も少ないため、出版社側としても公認会計士の教材を出版するメリットが乏しいのも現実です。
実際、インターネットで参考書を検索しても勉強法や問題集ばかり見つかると思います。
上級生でも市販の教材・参考書はあまり利用しない
公認会計士試験の勉強を一通り終わらせてそれなりに知識がある人や短答式試験合格者で論文式を不合格になった人なら参考書などの市販の教材でも問題ないのでしょうか。
前年度のテキスト教材が一通り揃っており、ある程度のインプットは完了しています。
市販のテキスト教材を利用してアプトプットに重点を置き、分からない分野は過去のテキストで確認するという勉強方法です。
一見効率の良い対策法に見えますが、多くの人は公認会計士専門学校が設置する上級コースを受講して再び対策しています。
経験者が独学ではなく再度予備校に通う理由
これは、再度公認会計士の予備校や専門学校に通学した方が学習効果が高いからです。
最新情報が反映されたテキストで勉強できることは、やはり安心感が違います。
後ほど詳しく紹介しますが、公認会計士試験は改正論点が財務会計などで毎年生じるのが特徴です。
昔使っていたテキストでは、学習不足または誤った解答になる可能性も否定できません。
また、自習室が無料で利用できたり、受験仲間と切磋琢磨できる環境で学んだほうがメリットは大きいからです。
公認会計士試験に合格する人は1日10時間以上勉強している人がほとんど。
朝から夜まで利用できる自習室なら、自宅と違って誘惑も少なく集中できるため、高い学習効果が期待できます。
さらに、税理士試験と違って公認会計士試験の科目合格の猶予期間は2年間しかないので、より合格の可能性を高めるために参考書を使った独学は選びません。
より各自性の高い公認会計士専門学校・予備校に通って再び勉強することが王道となっています。
テキスト重視!参考書に手を出すと合格が遠のく?
試験経験者の人は、試験範囲を一巡しているため、計算問題など物足りなく感じている人もいるかもしれません。
また、経験者に多いのが今の知識量では不安だからと、より細かく知識を習得したいと市販の参考書や教材に手を伸ばしがち。
しかし、この行為は絶対に危険です。
知識を深めようと参考など沢山の教材に手を広げると、中途半端な勉強になりがち。
合否の大きく影響するような重要な基礎論点が抜けてしまうことも多いです。
公認会計士試験に合格する人は、公認会計士講座のテキスト・問題集・答練しか手を出していません。
その代わり、何度も繰り返し利用して徹底的に知識を理解・定着していきます。
大学受験で様々な参考書に手をつけて失敗したことはありませんか?
公認会計士も大学入試と同様に与えられた教材を信じてボロボロになるまで何度も繰り返し学習することが大切です。
古い教材の使用は厳禁!常に最新シリーズの教材で勉強を
公認会計士試験が不合格だった人は上級コースを再度受講すると述べましたが、古い教材はあまり使用することはおすすめしません。
上記でも触れましたが、公認会計士試験は毎年制度改正が実施され、それに対応した対策を新たに行う必要があるからです。
制度改正が実施された改正論点は出題される可能性が非常に高いため、重点的に勉強していく必要があります。
試験年度に対応した教材であれば、改正論点にも対応しているので安心ですが、古い教材だと未対応の状態。
自分でネット等を駆使して情報収集することは可能ですが、全てを網羅して理解していくことは非常に困難です。
そのこともあって、よく公認会計士専門学校の過去のテキスト教材がネットオークションなどで出品されたりします(最近ではamazonやメルカリなどでも売っています)が、最新情報が含まれていないのでおすすめしません。
改正論点に対応した最新の教材を使って学習することが一番効果的であり、合格への近道となります。
答案添削の重要性!特に論文式試験対策
公認会計士試験はマーク方式の短答式試験と記述方式の論文式試験の2種類で構成されています。
マーク式は知識や解法テクニックを覚えていれば対応できるので、個人で演習問題を繰り返し行うことで合格することは可能です。
しかし、論文式試験は、文章で答案を作成する必要があるため、自分が書けたと思っても得点に結びつかないことが多々あります。
これはテキスト教材をただ解くのではなく、訓練するしか方法はなく、講師などプロに添削してもらいながら得点に結びつく答案作成能力を磨いていく必要があります。
公認会計士専門学校・予備校では、答練と呼ばれる模試のような実践的なテストが頻繁に実施されている所以はここにあります。
教材だけでなく、講師に自分の答案をどう改善すれば得点に結びつくか質問できるのも公認会計士専門学校で学ぶ強みでもあります。
他人に採点してもらうことは独学では不可能で、自分の回答が客観的に評価してもらえす、正しいのか判断することが困難になりがち。
経済的に厳しく独学しか選択肢がない人は、最低限答練パックを申し込んで論文式対策に備えてください。
答練パック講座とは
答練パックとは、アプトプットに特化された講義がなく論文答練や全国公開模試が受講できる教材コースです。
講義を受講しない分学費は割安になっており、大手の公認会計士専門学校でも30万円程度で受講することが可能です。
ただし、講義が含まれる本科生と比較するとその差は10万円ほどなので、高いか安いかは個人によって感じ方は異なってくるかと思います。
もちろん答練パックの受講生でも校内の自習室が使用できるうえ、就職サポートも利用することが可能です。
公認会計士専門学校によって料金や講座内容、各種利用可能なサポートなど異なってくるので詳しく確認することをおすすめします。
TACの上級論文答練パック本科生 | |
---|---|
論文答練 | 約50回 |
アクセス答練 | 財務会計論14回、管理会計論14回、租税法11回 |
全国公開模試 | 論文2回 |
理論補強答練 | 財務会計論-理論、監査論、企業法、租税法、経営学 |
受講料 | 307,000円 |
クレアール 上級論文合格コース | |
---|---|
対象 | 短答合格者又は免除者で答案練習を中心に対策したい方 |
論文答練 | 財務会計論21回、管理会計論13回、監査論7回、企業法7回、租税法10回、選択科目(経営学)23回 |
講義 | 財務会計論4回、管理会計論1回、監査論1回、企業法6回、租税法31回、選択科目(経営学)12回 |
論文式公開模試 | 1回 |
受講料 | 285,000円 |
【まとめ】確実に合格したいなら参考書で独学は回避すること
以上、公認会計士試験を受験する際に関するテキスト教材について説明してきました。
公認会計士”試験”と聞くと、合格するためにはとにかく勉強量だったり学力を高めることに集中すればいいといった考えが浮かんでしまいます。
しかし、環境だったり勉強効率だったりと追求するポイントはたくさんあり、その点予備校は最新の教材テキストを用意しているだけでなく、講師のサポートや学習環境など公認会計士試験に合格するための理想の場所と言えます。
公認会計士試験は難易度が高いだけあり、合格するためには勉強以外のところでも対策を練るのが重要です。
以下にポイントをまとめました。
- 公認会計士試験は独学ではなく予備校がおすすめ
- 市販の教材・参考書で素晴らしい書籍もあるが、情報の網羅性で難あり
- 改正論点が多いので中古のテキストは使用しない
- 答案添削を受けられる教材コースを受講するのがおすすめ
ぜひ参考にして頂いて、効率よく公認会計士試験合格を目指して頂けますと幸いです。