「公認会計士試験はやめとけ」と言われる理由と目指す価値を解説
「公認会計士試験はやめとけ」と言われる理由と目指す価値を解説

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「公認会計士試験はやめとけ」と言われる理由と目指す価値を解説

公認会計士試験を目指すのを「やめとけ」と言われることがよくあります。

公認会計士試験は「やめとけ」と言われることが結構あります。

試験難易度はもちろん、仕事内容や将来性などを踏まえて言われることが多いです。

そこで公認会計士試験は本当に「やめとけ」と言われる資格なのか、検証していきましょう。

公認会計士は「やめとけ」と言われる理由

公認会計士は「やめとけ」と言われる理由

試験難易度が高い【平均合格期間は2年】

最新の公認会計士試験の合格率は9.6%です。

合格率だけでも難易度が高いことが分かりますが、合格者のデータを詳しく見るといかに厳しい戦いかということが分かります。

  1. 合格者の64%が20~24歳であり、またこの年代の合格率は13.6%と高く、時間に余裕のある大学生有利の試験といえます。
  2. 合格者数を大学別に並べると、慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学という優秀な大学が上位を占めています。
  3. 試験範囲が広いため1発合格者の平均勉強時間は3,664時間(約1.5年~2年)です。

公認会計士試験は地頭が良くて時間に余裕のある大学生が1.5~2年かけて挑んだとしても、10人に1人程度しか合格できない厳しい資格試験であることを示しています。

監査法人の業務内容や仕事量

厳しい試験を勝ち抜いて監査法人へ就職しても、大量の仕事や優秀な同期との競争が待っています。

監査法人の業務内容とは

監査法人の主な仕事である監査とは、大企業の決算書が会計ルールに従って正しく作られていることを保証する仕事です。

決算書は大企業の1年間の様々な活動を集約しているため、決算書を理解するためには会計以外にも税務、法律、商慣行、ITなどクライアントを取り巻くあらゆる事象と決算書のつながりを理解していなければなりません。

決算書の正しさを保証するためには、すべての経済行為が会計にどのように反映されるべきか専門家として一つ一つ判断していくことが求められます。

監査法人の仕事量

大手監査法人の所定の勤務時間は1日7時間が一般的ですが、毎日定時で帰っている公認会計士はいません。

日本は3月決算の会社が多く、決算締めから監査報告までの4~5月においては1年の中でも特に仕事が忙しくなります。

終電、タクシー帰り、土日出社は当たり前という公認会計士も多いのではないでしょうか。

ただし、働き方改革やリモートワークの普及など、以前よりは労働者に優しい仕事環境が増えていると思います。

勉強時間の確保

公認会計士試験の勉強範囲が広いことは事実ですが、残念ながらその勉強内容は現場で働く公認会計士にとっては基礎の範囲に過ぎません。

その証として新人会計士が担当できる業務は基本的な部分に限られ、また正式に公認会計士を名乗るためには3年間の補習所通いと単位取得、そして最後に修了考査(旧3次試験)に合格する必要があります。

働きながら複数のクライアントのビジネスや実務上の論点を勉強し、なおかつ補習所通いや修了考査に向けた試験勉強も必要なので、新人の公認会計士にとっては勉強時間の確保が重要な課題になります。

将来はAIに業務が奪われるという噂

会計や法律といった決められたルールに基づく判断はAIにも代替できるという考え方があります。

実際に大量のデータから異常値を検出し、高リスク部分を特定するようなデータ分析技術は監査の現場にも導入されています。

こういった自動化技術は公認会計士の仕事をどんどんと奪っていくかもしれません。

そうした危機感を持って人間としてのコミュニケーション力や判断力、経験値を蓄積し、AIには出せない付加価値を提供できるかどうかが公認会計士として後悔しないポイントになると考えられます。

公認会計士という道を選択肢して合格率10%の試験をクリアしたとしても、長時間労働、優秀な同期やAIとの競争、勉強時間の確保といった厳しい未来が待っているのであれば、公認会計士なんてやめとけと言われても不思議ではないでしょう。

「やめとけ」に対する反論

「やめとけ」に対する反論

公認会計士はやめとけという意見にあえて反論してみましょう。

特に合格率の低さはそれだけで公認会計士を諦める理由にはならないと考えられます。

試験難易度は高いが合格できない資格でもない

公認会計士試験の合格率が約10%であることは事実ですが、これは願書提出者に占める論文式試験(2次試験)の合格者の割合を示しています。

令和3年度の合格率を詳しく分析して実質的な合格率を考えてみましょう。

試験の欠席者

1次試験である短答式試験は14,192人が願書を提出しましたが、実際に受験したのは9,524人です。

欠席者は試験免除者1,932人の他に単純な欠席者2,736人も含まれており、彼らは実質的に受験者総数から除いて考える必要があります。

したがって令和3年度の実質的な合格率は9.6%ではなく11.8%(1,360人/(14,192人ー2,736人))といえます。

2つの試験に分解する

欠席者を考慮すると短答式試験の実質的な合格率は21.6%(2,060人/9,524人)、論文式試験の合格率は34.1%(1,360人/3,992人)となります。

短答式試験の免除者がいるため母数が合いませんが、最短ルートで考えて合格率22%と34%の2つの試験をクリアするという形に分解できます。

2つの試験に分解することで合格率10%と言われるよりは心理的なハードルが下がったのではないでしょうか。

試験の免除制度

短答式試験に1度合格してしまえば仮に論文式試験に落ちたとしても2年間は短答式試験が免除されます。

短答式試験はマークシート式で浅く広い知識が問われ、一方の論文式試験は深い知識と論述力が問われます。

これらの異なる試験制度の両者を準備するのはとても負荷が高いので、まずは短答式試験をクリアするという段階的な戦略を立てることも可能になります。

また論文式試験には科目合格制度があり、仮に不合格でも成績の良かった科目は次年度に受験が不要になる可能性があります。

記念受験者の存在

さらに実質的な合格率を押し上げる要因として記念受験者の存在が挙げられます。

記念受験者とは勉強を始めたばかりなので試験場の雰囲気を経験する、本番のレベルを体験するというような最初から合格を目的としない受験者層のことです。

また明らかに勉強が足りておらず合格する気配のない受験生も一定数います。

こういった記念受験者の本当の割合は分かりませんが、10~15%程度はいるのではないでしょうか。

キャリアの選択肢が広がる

公認会計士という仕事は激務で大変というイメージは間違っていません。

しかし激務や時にはつまらないとも感じてしまう仕事を乗り越えた先には、会計専門家としての専門性と経験に裏付けされた自信、ビジネスパーソンとしての汎用的スキル等の貴重な財産を手に入れることができます。

その結果としてキャリア設計における選択肢を多く持つことが出来ます。

具体的な選択肢については後述しますが、厳しい環境や競争、日々の勉強の習慣があなたを希少価値の高い存在へと押し上げてくれることでしょう。

なお公認会計士試験に合格した人はほとんどが監査法人に就職し会計監査の実務経験を積みます。

これは監査という特殊な業務経験が監査法人でしかできない経験であり、かつ会計という専門性を磨くための十分な環境が整っていることが理由です。

もちろん公認会計士試験に合格した実績を持って新卒の就職活動に臨む人もいます。

AIに簡単に業務が奪われるのはもっと先の話?

自動化技術が公認会計士の仕事を肩代わりし始めていることは事実ですが、この先5~10年程度で監査という仕事自体をAIにそっくり奪われてしまうという可能性は限りなく低いと考えられます。

料理で例えると、食材の下ごしらえだけが自動化されているもののシーンに合ったメニュー選択や最後の味付けはまだまだ料理人の判断が求められる、といった状況です。

むしろAIが単純作業を担ってくれれば、若手の公認会計士が雑多な単純作業から開放され重要度の高い論点に多くの時間を費やすことができる未来がやってくる可能性があります。

AIとの共存は長時間労働や単純作業という地獄にさす希望の光かもしれません。

公認会計士は目指す価値はある?

公認会計士は目指す価値はある?

公認会計士は、キャリアの選択肢が広がるという意味では日本一の資格です。

それは会計がビジネスで必須であるという優位性があるにも関わらず、会計に精通しているビジネスマンが圧倒的に少ないことが理由です。

会計は一般的に難しいものでありながらニーズは必ず存在します。この構造が公認会計士の存在意義を下支えしています。

監査法人の次のキャリアプラン

公認会計士試験を突破したあとは監査法人で実務経験を積むのが一般的です。

そしてその次のステップとして20代後半~30歳前後の公認会計士にどのようなキャリア設計上の選択肢が用意されるのかを見ていきましょう。

監査法人での出世コースに乗る

監査法人で働いていれば自然に考えるキャリアの1つが、監査法人の出世コースに乗るというルートです。

監査法人で最も出世した公認会計士はパートナーと呼ばれ、監査の最終責任者として監査報告書にサインをするという社会的にも認められた立場となります。

年収も数千万円、その責任に見合った十分な金額が保証されます。

ただし会計に関する専門性はもちろん、海外駐在、営業実績、社内政治やときには激務をこなす時期など監査法人という大きな組織の中で勝ち抜くための努力としたたかさが求められる茨の道でもあります。

会計・財務コンサルティング

監査という仕事で得られた会計のスキルを活かして監査からコンサルティング業に軸足を移す公認会計士も多くいます。

監査がクライアントの決算書の正しさを保証する仕事であるのに対して、コンサルティング業はクライアントが作成する決算書や業務上の困りごとに対してアドバイスや支援をする仕事という違いがあります。

コンサル会社への転職もありますが、監査法人のグループのコンサルティング会社に転籍するというコースは比較的ハードルが低く、いざとなれば監査法人にも戻ってきて出世レースへ参戦するなど機動力も高いので多くの若手が取りやすい選択肢です。

大企業への転職

監査法人の3年目ごろに受験する修了考査(旧3次試験)に合格し、正式に公認会計士という資格を名乗れるようになれば、通常の転職市場でも強みを発揮できます。

会計制度がますます複雑化して国際化の流れを受けた制度改革なども毎年のように行われていることから分かる通り、特に会計や経理の仕事のうち高度専門的なスキルを持った人材のニーズは無くなることがありません。

公認会計士資格を持っていれば、新卒の就職活動では諦めていた憧れの大企業に経理や財務といった切り口で就職できる可能性も高いでしょう。

ベンチャー企業への転職

日本は米国と異なり時価総額10億円程度の比較的小さい企業であっても上場できる土壌が整っています。

新規上場はリーマンショックで冷え込みましたが、制度の後押しやリスクマネー供給の回復もありベンチャー企業によるイノベーションや新規上場が盛り上がりを見せています。

ベンチャー界隈では面白いビジネスを立ち上げる人は多いものの、上場に耐えうる内部統制、管理業務まわりの仕事が得意という人はあまり多くありません。

そんな中、公認会計士にはベンチャーのCFO(最高財務責任者)というポジションの求人が多く見つかります。

年収ベースでは1千万円に届かないくらいで監査法人時代と比べると若干物足りないですが、ストックオプションという株式を安く購入できる権利を会社から付与してもらい、上場時には数千万円~数億円の経済的利益を手にすることも可能です。

個人事業主や個人事務所開業

経営者として会計事務所を1人で始めることも容易です。

しかも仕事内容は記帳代行のようにルーティン作業で安定的な収入が見込めるものから、上場企業や上場準備会社の経理コンサルなど時給が10,000円を超えるような案件まで多様な戦略を描くことが可能です。

また監査法人時代の友人や先輩などと複数人で開業することもできます。

皆が会計という専門的な軸を持っているので、案件単位で機動的にチームを組めるのも魅力です。

ビジネスで起業

会計に限らず自分のアイデアで起業をする公認会計士もいます。

宿泊施設検索サービス「Stayway」の佐藤淳氏や、音声プラットフォーム「Voicy」の緒方憲太郎氏などが有名です。

彼らは公認会計士という資格にとらわれずに様々な分野で活躍しています。

このような多様なキャリアプランを可能とする公認会計士資格には、「やめとけ」と言われたとしても目指す価値があると思いませんか?

資格としての将来性

資格としての将来性

人生のうちの40年以上を費やす仕事の時間。その長い時間の中で選択肢を多く持ち続けるということは、人生を自分で決められる裁量が増えることを意味しています。

公認会計士資格の持つ魅力は、自分の人生を自分で決められる自由度といえます。

これからの世界はさらなる技術革新で製品ライフサイクルが短命化し、企業や業界の順位が激しく入れ替わると考えられます。

そんな不確実性の高い世界で無くならない会計ニーズという理由だけでも公認会計士資格には価値があります。

公認会計士を目指せば資格試験のためだけでなく資格取得後も勉強の日々が続きます。

会計士はもう食えない、勉強ばっかりで人生後悔する、そんな声をあげる人は公認会計士ではないはずです。

公認会計士であればその資格の持つ自由度を肌で実感し、自由な働き方を実践しています。

間違ってもこれから公認会計士を目指す後輩に「やめとけ」とは言わないでしょう。