公認会計士の受験資格
公認会計士の受験資格

公認会計士の受験資格

公認会計士の試験は受験資格がないので誰でも挑戦することが可能です。

公認会計士試験は他の国家資格にように受験資格が設定されているかについて今回は詳しく解説していきます。

公認会計士に興味があり、受験資格について知りたい方はぜひ参考にしてみて下さい。

公認会計士試験の受験資格「高卒でも受けられる?」

公認会計士は国家資格だから、受験資格として大学卒業の学歴が必要と思っている人が少なくないようです。

しかし、同じ国家試験でも受験資格は異なります。国家試験の代表的なものを見てみると受験資格は次のように定められています。

  • 医師国家試験の受験資格(厚生労働省):6年制の医学部卒業。医師国家試験予備試験の合格者
  • 司法試験の受験資格(法務省):法科大学院の修了者。司法試験予備試験の合格者
  • 税理士試験の受験資格(財務省):大学3年次以上で一定の単位取得者。司法試験合格者。公認会計士試験の短答式試験合格者。日商簿記1級合格者など
  • 社会保険労務士試験の受験資格(厚生労働省):高専・短大・大学卒業者。社労士事務所などでの3年以上の実務経験者。厚生労働大臣が認めた国家試験の合格者
  • 公認会計士試験の受験資格(金融庁):学歴・職歴不問

以上のように、公認会計士の受験資格には学歴も実務経験も関係ありません。年齢、性別、国籍も不問です

公認会計士試験の最年少合格者は10代

公認会計士試験も昔は大学在学か卒業が受験資格と見られていたときもありましたが、2006年より制度が一新され、中卒・高卒でも受けられるようになりました。

現に、公認会計士試験の最年少合格者は例年10代で、2020年度は18歳でした。過去には16歳で合格した現役高校生もいます。

【補足】旧公認会計士試験制度
2005年までの旧公認会計士試験制度は、第一次試験、第二次試験、第三次試験に分かれていました。

  • 【第一次試験】一般教養を問うもので受験資格はとくになし。大学に2年以上在籍し一定の単位を取得した者は免除。
  • 【第二次試験】短答式と論文式の公認会計士の試験。インターン(実務補習・業務補助・実務従事のいずれか)を3年間履行することで第三次試験の受験資格を取得。
  • 【第三次試験】筆記試験。口述試験。合格者に公認会計士の資格を授与。

第二次試験は現在の短答式・論文式試験に該当し、ここでほぼ合否が決まるわけですが、合格者は大学2年以上在学して一定単位を履修した者(短大卒、大学卒を含む)が多く、中卒や高卒者は少なかったことから「大学2年以上」が事実上の受験資格とされるようになりました。

やがて公認会計士・監査審査会が「公認会計士試験については、社会人を含めた多様な人材に受験し易くすることで、公認会計士間での競争を促進し、公認会計士全体としての水準の向上が図られるような制度の在り方を検討すべきである」という方針を打ち出し、2006年度に現在の試験制度に改善されました。

第一次試験が撤廃され、それに伴って大学2年以上は免除という特典もなくなった結果、だれでも受けられるようになったという経緯があります。

高卒で公認会計士を目指すメリットとデメリット

高卒で公認会計士を目指すメリットとデメリット
学歴不問の公認会計士試験にはさまざまな経歴を持つ人が挑戦しています。

たとえば、商業高校を卒業して企業の経理部門に就職した人が、さらなるキャリアアップのために猛勉強をして公認会計士試験に合格したというケースも珍しくありません。

しかし、公認会計士の試験は、ハードルは低くなりましたが問題の難易度が下がったわけではありません

合格率は例年10%前後で、2021年11月に実施された公認会計士試験では、最新の記事によると合格率は9.6%にすぎません(朝日新聞デジタルより)。

では、この合格率の低い公認会計士を高卒で目指すメリットはどこにあるのか?

デメリットも合わせて見ていきましょう。

メリット1.高卒の平均年収よりも公認会計士の給与水準が高い

公認会計士の中心的な業務は「会計監査」です。

会計監査は独占業務で、公認会計士の資格を持つ者以外は携わることができないと法律で規定されています。

高度な知識を必要とする専門性の高い仕事なので需要は多く、それに対して公認会計士の資格を持つ人の割合が少ないため、必然的に給与水準が高くなります。

それに、公認会計士は高卒でも大卒でも年収は一律です。

公認会計士試験に合格した人は、BIG4と呼ばれる4大監査法人(あずさ監査法人、トーマツ監査法人、新日本監査法人、PwCあらた監査法人)のいずれかに就職して実務経験を積むのが一般的です。その監査法人での年収は下表のとおり、20代で600万円です。

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、一般企業での平均年収は最終学歴が高卒の場合は約256万円、大卒の場合は約340万円です。

こちらのデータは企業規模をすべて合わせた平均年収なので監査法人の年収と簡単に比較できませんが、公認会計士は高卒でも一般企業での大卒の年収を上回ることがわかります。

【大手監査法人(BIG4)の年収】

ポジション 年代 年収(万円)
スタッフ(一般社員) 20代 600
シニアスタッフ(係長) 30代前半 800
マネージャー(課長) 30代後半 1000
シニアマネージャー(部長) 40代前半 1200
パートナー(社長・役員) 40代後半~ 1300

メリット2.独立開業も目指せる

公認会計士の資格を取得するには、試験合格後に一定期間、監査法人で実務補助を行いながら実務補習所に通い、最後に修了考査に合格するという流れになります。

そして、日本公認会計士協会の公認会計士名簿に登録することで「補助」ではなく、業務を請け負うことが可能になります。

また、登録後は税理士登録の申請もすることができ、審査に合格すれば税理士とダブルライセンスを持つことができます

登録後のキャリアは各人各様で、そのまま監査法人でキャリアアップを目指す人、税理士事務所や一般事業社(企業)へ転職する人、独立開業する人などに分かれます。

それぞれの道に魅力がありますが、独立開業を選んだ人の理由として多いのが、「裁量権が自分にあるので、クライアントや仕事内容を選ぶことができる」「時間をある程度自由に使える」「顧客を開拓して事業が軌道に乗れば高額収入が期待できる」という声です。

実際に、独立開業した人の中には税理士の資格も持って3000万円以上の年収を得ている人がいます。自分の努力次第で可能性を広がられるという点は大きなメリットといえるでしょう。

デメリット1.合格しても大卒と比較して就職が難しい面も

先述したように、試験に合格した後は監査法人に就職することが多いのですが、大手監査法人には慶応、早稲田、東大といった偏差値の高い大学出身者も多数応募してきます。

学歴は問わないといっても英語力や論理的思考力、分析力などが求められますから、そうした難関大学出身者の中では高卒生はどうしても不利になりがちです

社会人になってから公認会計士の試験勉強をして合格したという人も、年齢が30歳を超えているとやはり年齢もネックになって就職が難しくなるのが実情です。

デメリット2.不合格だった場合は進路が制限される

もう1つのデメリットは、2~3年間試験勉強に専念したものの合格できず他の仕事に就こうとした場合、勉強していた期間は経歴にならないため、履歴書に「高校卒業」としか書けないことです。

応募条件に「学歴=高校卒業程度」と記載されているときは、大卒者も応募してきます。

仮に高卒生と大卒生の二人が応募した場合、年齢もほぼ同じ、職歴も無い者同士、志望動機も似たり寄ったりとすれば、採用担当者が判断基準とするのは学歴です。

そのため、高卒者は書類選考の段階でふるい落とされることが多くなります。

高卒者を積極的に採用する企業も少なくないのですが、比較的規模の小さい製造業、建設業、小売業、医療・福祉、飲食業などに制限されがちです。

それに対して大企業の総合職や金融業、流通業などは大卒者を対象とした求人が多いという傾向が見られます。

高卒でも受験資格はあるが、就職を考えると大卒がオススメ

高卒でも受験資格はあるが、就職を考えると大卒がオススメ

公認会計士の試験は短答式と論文式の2段階選抜です。

短答式試験は毎年5月と12月に実施され、短答試験に合格した人が論文式試験を受けることができます。

論文式は年に1回、8月中旬に3日間にわたって行われます。

公認会計士の試験科目と合格基準

短答式(マークシート式) 財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目(必須)
論文式(記述式) 会計学(財務会計論+管理会計論)、
監査論、企業法、租税法の4科目(必須)
経営学、経済学、民法、統計学の中から1科目選択

合格基準は総合点数の70%とされていますが、1科目でも40%に満たないものがあると不合格になります。

なお、公認会計士試験には免除期間が設けられており、短答式に合格して論文式で落ちたという場合は、次回は短答式試験が免除され、論文式だけ受ければよいとされています。

論文式試験でも「科目合格制度」があり、合格した科目は免除され、次回は不合格だった科目を受け直すだけでよいことに。

ただし、短答式も論文式も猶予期間は2年と限られています

実際は大学在学中・卒業後の合格者がほとんど

公認会計士の試験は科目が多く、出題範囲が広いのが特徴で、そのため「量の難易度が高い試験」ともいわれています。

量の多さが難易度を高めているというわけです。試験内容も、たとえば選択科目の統計学は数学iiに相当する内容で、大学レベルの知識がないと合格点を取るのは難しいといわれます。

実際に合格者を見るとほとんどが大学在学中か卒業生で占められています

公認会計士・監査審査会が発表した「令和2年公認会計士試験の合格発表の概要」によると、論文式試験の合格者は1335名で、職業(属性)は「学生および専修学校・各種学校受講生」が66.9%(約893人)、会社員が7.1%(約95名)です。

4年制大学に限定して見てみると合格者の多い大学ランキングは下記のようになります。

公認会計士試験【合格者大学ランキング】

順位 大学名 合格者数
1位 慶應義塾大学 167名
2位 早稲田大学 98名
3位 中央大学 74名
4位 明治大学 60名
5位 立命館大学 52名
6位 東京大学 49名
7位 神戸大学 47名
8位 京都大学 43名
9位 法政大学 42名
10位 同志社大学 34名

公認会計士試験の合格者に大学生が多いのは、高卒者より受験に慣れていて、質の高い勉強法が身についているからと考えられます

公認会計士の試験は過去問を解いたりするだけの独学では合格は望めません。新しい情報を収集して、効率の良い勉強をしないと何年も浪人を繰り返すことに。

それを避けるためには、経済的に問題がなければ大学に進んで在学中から公認会計士の勉強に取り組むことです。それが最も確実で一番の近道といえます。

【おまけ】USCPA(米国公認会計士)の受験資格は?

【おまけ】USCPA(米国公認会計士)の受験資格は?

国際的な公認会計士として働きたい人におすすめな資格として「USCPA(米国公認会計士)」があります。

USCPA(米国公認会計士)は米国の公認会計士資格ですが、日本で試験を受けることが可能なので米国まで渡航する必要がありません(一部、日本では試験を受けられない州もあります)

また、いわゆる競争試験ではなく75点以上を獲得すれば合格できるので、uscpa(米国公認会計士)に必要とされる知識をまんべんなくカバーできていれば、初心者でも独学でも合格を目指すことが可能です。

さらに、科目ごとに試験を受けることができ、試験日も自分で選べるので仕事や学校と両立しながら計画的に資格取得を目指すことができます。

USCPA(米国公認会計士)の受験資格

USCPA(米国公認会計士)は試験を受ける州によって受験資格が異なりますが、大きく分けて「学位要件」と「単位要件」のふたつがあります。

【学位要件】

4年制大学を卒業して一定の学位を得ていること

(ただし、州によっては短大卒や高卒の場合でも受験可能なところもあり)

【単位要件】

「会計単位(会計学や財務会計などの科目単位)」と「ビジネス単位(経済学部や商学部での専門的な科目単位)」を一定数以上取得していること

USCPA(米国公認会計士)の試験は全米で統一されているため、どの州で資格取得を目指しても難易度は同じです。

しかし、受験資格は州によってさまざまなので、ご自身が要件を満たせている州や受験資格要件の難易度が易しい州を選ぶことがポイントです

なお、USCPA(米国公認会計士)の「合格証明書」は出願した州から発行されます。

USCPA(米国公認会計士)の資格取得後

USCPA(米国公認会計士)の資格取得後は、次のようなビジネス展開が期待できます。

  • 会計や財務の国際的なプロとして活躍できる
  • 英語力もプラスすれば海外での活躍も可能に
  • 高収入が得られる可能性がある など

USCPA(米国公認会計士)の資格取得者の多くは、監査法人や外資系企業などで会計や財務のプロとして幅広く活躍しています。

また、ネイティブ並みの英語力も付けることで、直接海外でのビジネスにもチャレンジできる可能性も

ほかにも、独立してUSCPA(米国公認会計士)事務所を構えることで、より高額な収入を得られる可能性があります。

まとめ

公認会計士の受験資格と実態を見てきましたが、高卒でも受験資格があるといっても、合格するのは大卒者が圧倒的に多いのが現状です。

高卒者が努力して合格できたとしても、今現在は監査法人も人材不足で「売り手市場」ですが、景気が低迷して買い手市場に転じてしまった場合は、慶応、早稲田、東大レベルの人達と争う覚悟が必要です。

独学でそこまで力をつけるのは困難ですから、公認会計士を志すならまず、受験資格に関係なく大学卒業を目指すことをおすすめします。

ちなみに、USCPA(米国各州が認定する公認会計士資格)の試験は、日本の試験より比較的難易度は低く、受験生の大半を社会人が占めています。

受験資格は州によって異なりますが、カリフォルニア州では4年制大学の学位が必要です。

試験は日本でも受験可能なので、グローバルな資格を取りたいという方は挑戦してみてはいかがでしょうか。